気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
症例
経気管支生検にて診断し経時的な気管支内腔所見が観察できた肺ムコール症の1例
横山 佑衣子横山 俊彦高納 崇谷本 光希町井 春花青山 大輔若松 学坂口 大俊吉田 奈央野村 史郎
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 42 巻 3 号 p. 228-233

詳細
抄録

背景.肺ムコール症は免疫不全状態において急速に進行する予後不良な深在性真菌症である.症例.8歳,女児.再発性急性骨髄性白血病に対する寛解導入療法中,急速に増大する左下葉の広範な浸潤影が出現した.気管支鏡検査にて左下葉支内腔に巨大な白色隆起性病変を認め,生検にて肺ムコール症の診断に至った.診断当初,手術は困難と判断し,アムホテリシンBリポソーム製剤の全身投与に加え,アムホテリシンBの経気管支注入療法を複数回行った.しかし効果は乏しく,経時的な気管支内腔観察にて病変は上葉支からも確認できるまで進展した.骨髄機能の回復後,左肺全摘術を施行し,以後ムコール症の再発なく経過している.結論.経気管支生検にて診断し得た肺ムコール症の1例を経験した.本症は早期に診断し,抗真菌薬投与に加え積極的に外科的治療を行うことが重要である.

著者関連情報
© 2020 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top