2020 年 42 巻 3 号 p. 252-255
背景.近年,高解像度CTの普及で小型肺病変の発見が増加し,様々なマーキング法が試みられている.今回我々は術中気管支鏡マーキングが有用であった1例を経験したため報告する.症例.68歳男性.直腸癌,肝転移の術後経過観察中,CTで右肺S6に単発5 mmの小結節を認め,転移性肺腫瘍の疑いにて当科紹介,手術の方針となった.CT上,腫瘍は右S6c縦隔側に認められた.腫瘍の局在から部分切除は困難であり,右S6区域切除を計画したが,腫瘍が比較的区域間に近いことが問題視された.そこで,腫瘍近傍を走行するB6cに術中に気管支鏡を末梢まで挿入し,胸膜面から確認された気管支鏡先端の光をガイドに,区域間切離ラインを決定し,右S6区域切除術を施行した.区域間からの切除マージンは16 mmだった.結論.症例を選択すれば,本法は従来法と同等な非侵襲的気管支鏡マーキングとして有用であると考えられた.