気管支学
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症例
喀血で発症した原発性気管支動脈蔓状血管腫の1例
大橋 洋介須甲 憲明服部 健史網島 優小倉 滋明山本 宏司井上 玲大坂 喜彦岡田 宏美松野 吉宏
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2021 年 43 巻 1 号 p. 60-65

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抄録

背景.原発性気管支動脈蔓状血管腫は気管支動脈の先天的形成異常にて発生する稀な疾患で,血管の破綻により大量喀血の原因の一つとなる.症例.77歳男性.起床後に大量喀血し入院となった.気管支鏡検査で右B2より出血を認めた.気管支動脈造影検査では右気管支動脈上葉枝は屈曲・蛇行し,周囲の血管増生を伴っていたため,気管支動脈塞栓術(bronchial artery embolization:BAE)を施行した.しかしBAE施行後も再度血痰が出現したため,気管支鏡検査を再度行い,右B2入口部に出血を伴う頂部の赤い乳頭状隆起病変を認めた.止血困難と判断し胸腔鏡下右肺上葉切除術を施行し,その後再喀血なく経過した.気管支鏡,気管支動脈造影,病理所見から原発性気管支動脈蔓状血管腫と診断した.結論.気管支鏡検査で出血部位の明らかな原発性気管支動脈蔓状血管腫を経験した.本疾患は血管性病変に特徴的な気管支鏡所見を熟知して診療を行うことが重要であり,BAEにより治癒も期待できるが,再出血をきたす場合は肺切除を含めて検討すべきと考えられる.

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© 2021 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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