気管支学
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症例
初回発症の19年後に対側肺に発症した二次性気管支動脈蔓状血管腫の1例
宮本 一平清水 哲男日鼻 涼神野 優介藤原 大士淺井 康夫權 寧博
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2022 年 44 巻 5 号 p. 387-391

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抄録

背景.気管支動脈蔓状血管腫は気管支動脈の拡張・蛇行を特徴とした血管の形態異常であり,喀血の鑑別疾患に挙げられる稀な疾患である.喀血をきたす肺疾患として,肺結核症や気管支拡張症,肺癌などは頻度の高い疾患であるがその原因が明らかでない場合,特発性肺出血と診断されることが多い.症例.59歳男性が喀血を主訴に来院した.胸部CTで右肺にすりガラス陰影を認め,気管支鏡検査では右B3入口部に凝血塊を認めた.気管支動脈造影(bronchial arteriography:BAG)で右気管支動脈上枝に血管異常を認め,気管支動脈蔓状血管腫と診断し気管支動脈塞栓術(bronchial artery embolization:BAE)を施行した.その後血痰は消失し現在まで再発なく経過している.本症例は今回の発症の19年前に左気管支動脈蔓状血管腫に対しBAEを行っていた.前回のBAGでは右気管支動脈に異常血管は認めず,二次性気管支動脈蔓状血管腫と診断した.二次性の原因としては炎症や腫瘤は認めず,喫煙が蔓状血管腫の成因に関係している可能性がある.結論.重喫煙者の特発性喀血症では,二次性気管支動脈蔓状血管腫の発症も鑑別に挙げ,BAGの施行を検討すべきである.禁煙管理で喀血再発の有無をフォローアップすることが今後の外来診療において重要となる.

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© 2022 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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