抄録
熱融着性ポリエステル繊維を用いて固化した培地は,ポット等の容器を用いない条件でかん水を行っても土が流亡しない特性を持っている。固化培地にセル成型苗を植え付けて栽培を行うと,植物の生長に伴い培地の結合性が強くなり,植物を植えていない状態よりも貫入抵抗値が大きくなった。観賞期間を含めた長期肥効型の被覆肥料をあらかじめ培地内に挿入することで,かん水管理だけで長期間開花を維持できた。三号鉢サイズの固化培地で栽培した花壇苗は一般的な5.5cmピッチのネットフェンスに直接挿入することができ,新たな基盤や土壌を用いずに早期に壁面を緑化することができた。屋外高温条件で培地を湿潤状態に保ちながら送風すると,緑化面付近の気温冷却効果が認められた。