雄性不稔トールフェスク “エムエスティワン(MST1)” は,イタリアンライグラスの細胞質を持つ核置換系統で,畜産草地研究所と雪印種苗株式会社の共同で育成された。MST1は,完全雄性不稔品種であり,稔性を持つトールフェスクの花粉粒と交雑しても,その後代も完全雄性不稔となる。本試験では,寒地における前報に続き,温暖地における特性調査を行った。MST1の出穂始め日はフォーンに比べ14日遅く,出穂期の草丈は30~40 cm低かった。また花粉粒の放出が皆無で,落下種子からの実生の発生も少なく,種子による繁殖が極めて少ないことが示唆された。MST1は,生物多様性に配慮した緑化材料として期待されており,国内での試作も徐々に始まっている。