日本緑化工学会誌
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論文
仙台湾岸の津波被災海岸林におけるマツ類の実生分布
大澤 啓志上野 澪七海 絵里香
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2016 年 42 巻 1 号 p. 122-127

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抄録

2011年の東日本大震災後の天然更新の可能性を検討するため,仙台湾岸の被災海岸林で被災4年目のマツ実生の分布実態を調査した。汀線に直交する測線上の調査区内で齢別の実生数を計数した。2013年生の実生数が最も多く,2014年生は急減していた。クロマツは残存高木の多い浜堤で,アカマツは浜堤より内陸側で実生密度が増加し,両種とも海側では著しく低かった。実生密度と開空率,土壌水分との直接的な関係は認められず,実生の空間的な分布には種子供給木となる残存高木の有無が強く影響していた。マツ林の天然更新による自律的な回復が効果的に得られるのは,一定の条件を満たす場所でのみであると考えられた。

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