既存の森林表土を不撹乱のまま法面緑化に利用する「表土マット移植工法」が施工された切土法面の,13年経過時点での成立植生を評価した。当該法面では樹高成長が優れなかったが,これは根系成長が表土マット内に制限されていることが一因であると考えられた。一方で,全植被率は90 %と高く,法面侵食も確認されておらず,遷移の進行が確認された。表土マットに含まれる根株から,コバノミツバツツジなどのアカマツ林構成種が萌芽再生していた。またアカマツを含む木本種の侵入が確認され,現段階ではアカマツ主体の群落が成立していた。以上より,当該法面における表土マット移植工法の自然回復緑化工としての有用性が確認された。