日本緑化工学会誌
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論文
奈良市近郊のコナラ二次林における主要樹種の立地選好性
田端 敬三白井 佑季奥村 博司阿部 進
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2016 年 42 巻 3 号 p. 437-443

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抄録

奈良市近郊にあるコナラ二次林の構成樹種の立地選好性を明らかにするため,林内に多様な微地形環境 (傾斜角= 2.6°~47.0°;凸状指数=-5.0 m~4.9 m) をもつ調査プロット ( 8,100 m2) を設置して,胸高直径 1 cm 以上対象の毎木調査を行い,主要樹種の出現状況と土壌,地形条件との関係性を検討した。その結果,傾斜角の大きな場所でリョウブ,ヒサカキの個体密度が高く,対して傾斜角の小さな場所ではウツギが高い個体密度で見られた。また,ネジキ,ソヨゴは凸地形,一方,ムラサキシキブ,ウツギは凹地形での出現傾向を示した。また,表層土 (深度 0 - 5 cm) の pH,交換性カリウム含量,可給態リン酸含量,含水率の値が高い場所で,ウツギ,ムラサキシキブが高い個体密度で見られた。対して,pH値が低い場所ではソヨゴ,交換性カリウム含量の低い場所ではソヨゴ,ネジキ,可給態リン酸含量の低い場所ではリョウブ,コバノミツバツツジ,ソヨゴ,含水率の低い場所ではコバノミツバツツジ,ネジキ,モチツツジがそれぞれ高い個体密度を示した。以上から,都市近郊コナラ二次林の主要樹種が地形条件,土壌理化学性の選好性に応じて分布している可能性が示唆された。

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