2016 年 42 巻 4 号 p. 512-515
近年,多雪地域にもニホンジカの分布が拡大しており,これらの地域で食害の発生が報告されている。多雪地域において緑化をすすめるにあたり,シカの食害を防止することが必要である。シカの食害を防止する方法のひとつにツリーシェルターがある。本研究では,ツリーシェルターの耐雪性を明らかにすることを目的に,多雪地域の平坦なスギ林における 1積雪期の積雪深の推移と融雪後のツリーシェルターの破損状況を調査した。林内に資材高 140 cmの六角柱型ツリーシェルター 20本を設置し, 2013/2014冬期の積雪状況を 1時間ごとの自動撮影により把握した。調査地では積雪が少なくとも 106日間あった。調査期間中の最深積雪深は 110 cmであった。融雪後の調査ではツリーシェルターに破損や倒伏は認められなかった。これらのことから,最深積雪深がツリーシェルターの資材高を越えない地域で六角柱型ツリーシェルターを用いることにより,年間を通してツリーシェルターを設置することが可能であると考えられた。