長期に亘り管理放棄されてきた関東地方のクヌギ-コナラ林の林床に生育するアズマネザサを刈り取った時のナラ枯れ被害(枯死または,穿入生存木)について,2020年から2023年まで調べた。カシノナガキクイムシによる被害木は初期段階に調査対象地の林縁部から侵入・拡大したと予想され,特にコナラについては,被害発生初期は幹周が大きい個体の方が被害を受けやすい傾向を示した。調査後2~3年経過した時点では刈り取りの有無や幹周に関わらず,コナラとクヌギ両種で被害木は増加した。コナラではアズマネザサの刈り取りの影響は確認されず,短期間ではアズマネザサの刈り取りの有無が植生構造に与える影響は小さいと考えられる。