抄録
中国乾燥砂地で鉄路保護の目的で開発された「草方格工」が, 鳥取県内海岸部を走る国道の飛砂害防止工法に実験的に採用された。本論は, この草方格工における飛砂固定状況と機能の根拠となる方格工による風速減退状況の観測結果と, 古畳を利用した方格工を試験施工して材料の可撓性・透風性が飛砂固定と風に対してもつ影響を比較検討した結果を述べる。
(1)草方格の場合堆砂は風上側から進行したが, 不透風性の畳の方格では方格区画にかなり入った部分から進行した。(2)最終堆砂高は, 草方格の場合堆積砂表層の匍行の影響で方格工の高さの1/2程度に止まったが, 不撓性材料の畳方格では方格工の高さにほぼ到達できた。(3)砂面上30cmに突出した方格工区画内外の地上高50cmの風速の平面的変動を観測した結果, 畳方格では明確な加速域が現われたが草方格の場合これは無かった。(4)方格工区画中央部と風上裸地の風速比を砂面上20cmで比較すると畳方格での減速がいくぶん大きく, 30~50cmでは畳方格の方が明らかに大きく減速される。
方格構造の飛砂固定策の場合, 不透風構造でも飛砂固定の機能を十分発揮できそうであることがわかった。