日本緑化工学会誌
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シバザクラの開花に及ぼす低温処理の影響
中島 敦司養父 志乃夫櫛田 達矢永田 洋
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1997 年 23 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

シバザクラの開花に及ぼす低温処理の影響を調べる目的で, 供試植物を12月4日から5℃ の低温庫ならびに自然の野外に20, 40, 60日間置いた後, 2基の20時間日長のグロースチャンバー (25℃恒温, 明期25℃/暗期18℃) へ移した。また, 12月4日に別の供試植物を野外から上記のグロースチャンバーへ搬入する無低温処理区も設定した (実験1)。さらに, 7月25日に, 実験1とは別の個体を, 野外から10, 15℃ の低温庫へ入れ, 5, 10, 15, 25, 40日後に再び野外へ運び出した (実験2)。これらの実験の結果, いずれの処理区でも開花が認められたが, 実験1の低温処理区における供試植物に着生した花序数は, 無低温処理区及び実験2のいずれの処理区の植物の花序数よりも多かった。この結果, シバザクラの花序の形成には, 12月初旬から少なくとも5℃ ・20日間以上の低温との遭遇が必要であり, シバザクラは条件的低温要求植物と考えられた。一方, 実験1においては, 新鞘の長さは低温処理の期間が長くなるにしたがって短くなり, 新鞘の長さと花序数の間には有意な負の相関が認められた。

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