23 巻 (1997) 3 号 p. 153-160
1984年, 長野県西部地震により大規模な崩壊地が御岳山に発生した。1986年, 地震荒廃地における森林の成立過程を知るため, 6箇所に調査プロットを設置し, 8年間の地震荒廃裸地における植物の自然侵入状況を調べた。その結果, 地震荒廃地における草本植物, 木本植物の侵入種数は, 両者とも経過年数に従って増加し, その侵入は, 周辺林地までの距離との間に, 明らかな負の相関が認められた。草本植物, 木本植物の侵入個体数は経過年数に従って増加したが, 木本植物の侵入個体数には, 年度による差が大きく, また, 当年生稚樹の枯損が多くみられた。ヤナギ属, カバノキ属のような先駆樹種は出現頻度が高く, 経過年数に従って個体数は増加した。先駆樹種以外のヒノキ, サワラなどは, 出現頻度が低く個体数も少なかった。また, ヒノキ, サワラは侵入しても, 何らかの原因で枯損し, ほとんど定着しないことを認めた。従って, 地震荒廃地のような厳しい立地条件下では, 厳しい環境条件を緩和する対策を講じ, 積極的に先駆樹種の導入を行う必要性があると考えられる。