抄録
高速道路のり面の管理計画のための基礎的な資料を得るために, 施工後13~14年にアカマツが優占していた名神高速道路ののり面で, 管理開始前と開始後の植生の比較を行った
管理作業はアカマツの群落に大きな影響を与えていた。無管理ののり面では多様な木本種が侵入し遷移が進行していたが, 生育していた樹木を伐採し年1回の草刈を行っている区では遷移初期の草地段階まで遷移が退行していた。樹木の間引きや剪定と年1回の草刈を行っている区では遷移は停滞していた。また, 伐採後放置している区では埋土種子が発芽し, 異なった遷移系列に移行していた。
調査の結果, アカマツ群落の皆伐は遷移を後退させ, クズやニセアカシア等の侵入を招き, 植生を偏向遷移に移行させる可能性があることが指摘された。