25 巻 (1999) 3 号 p. 176-183
樹幹切断後の樹幹内での樹液流動と吸水量の関係を調べるために, スギ (Cryptomera ajponica) とタムシバ (Magnolaasa licifolia) をそれぞれ1個体ずつ選んで実験を行った。供試木の樹幹を夜明け前に切断し, 樹幹切 断部からマリオットボトルを用いて給水を行った。樹幹切断前後の樹液流速度の変化はヒートパルス法で測定 した。スギの場合, 日中に樹液流速度は一定値を示したが, タムシバでは樹液流速度が一定になるような傾向 は認められなかった。蒸散量の増加に対して樹液流速度が対応しないのは樹幹内の通水面の拡大によると考え られた。スギの場合, 樹液の流動が始まると同時に吸水も開始したが, タムシバは1時間ほど吸水の始まりが 遅れた。タムシバは日中の最大樹液流速度が速く, 蒸散によって生じる水欠差は樹幹内の貯留水でまかなわれ ていることが示唆された。一方, スギの蒸散はほとんど吸水に依存していると考えられた。