2001 年 27 巻 1 号 p. 300-303
岡山大学構内に生育しているイチョウ (Ginkgo biloba L.) 2個体 (良好木, 不良木) を用いて, 樹幹内温度, 樹液流速度及び周囲の温熱環境 (樹幹表面温度, 日射量, 気温, 地温) の測定を2000年4月から10月まで行った。樹幹内温度は春から夏にかけて樹幹表面温度から強い影響を受けて変化していたが, その高さによる違いや幹内外の温度差は樹液流動によって小さくなった。その際に, 良好木では幹内外の差が小さくなったのに対し, 不良木では樹液流速度が遅いため, 午前中, 樹幹上部で幹内外の差が変化しなかった。したがって樹木, 特にイチョウの活力度の診断には, 夏から初秋までの午前中, 樹幹上部における樹幹内温度と樹幹表面温度の差を利用する事が有効であると考えられる。