2023 年 52 巻 2 号 p. 177-201
大規模かつ複雑なシステムの信頼性解析には,システムを構成するコンポーネント(サブシステムや部品など)の寿命間の従属性の情報が必要となる.本稿では寿命間の統計的な従属性の評価手法として,多変量確率分布であるFarlie-Gumbel-Morgenstern(FGM)コピュラを用いた信頼性データ解析を解説する.まず多変量FGMコピュラの性質を解説し,同時推定法とInference Functions for Margins法の2種類の最尤法をベースとしたパラメータ推定手法を詳説する.とくに,推定量の標準誤差と信頼区間を導出し,シミュレーションを通してその性質を調査する.そして,実データの解析を通して,多変量信頼性データを用いた解析へのFGMコピュラの応用を紹介する.