スポーツ社会学研究
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原著論文
アスリートの思いと被災地域の希望をつなげる
―日本アスリート会議―
間野 義之
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2012 年 20 巻 1 号 p. 21-36

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抄録

 わが国において1990年代からトップ・アスリートは、社会貢献活動のための非営利組織を設立している。東日本大震災を契機に、6人のアスリートが設立発起人となり、被災地の総合型地域スポーツクラブの復興を目的のひとつに「日本アスリート会議」が設立された。同会議は、まず最初に被災地の総合型地域スポーツクラブの現状を調査するとともに、トップ・アスリートたちの被災地支援の意向調査を行った。その結果、44.3%のクラブはアスリートイベントを開催できる状況にないことがわかり、その一方で82.9%のアスリートはスポーツ教室に参加したいと回答した。この結果を受けて、同会議は現地での実行委員会を設置し、総合型クラブの支援を行うこととした。同会議は「ウォームアップ・ジャパン」と名付けたプログラムを被災3県で提供し、2011年8月~2012年1月までに延2,500人を超える少年少女らが参加した。30人以上のアスリートも参画し、少年少女を勇気づけた。岩手県での中学生参加者(n=126)への調査によると、プログラム参加前後で、身体運動に対する態度が有意に改善された。しかし、ウォームアップ・ジャパンの継続に向けては、まだ多くの課題がある。

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© 2012 日本スポーツ社会学会
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