スポーツ社会学研究
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原著論文
社会的企業によるスポーツを通じた地域課題の解決
―社会関係の構築を目指す民間ボウリング場に着目して―
笹生 心太
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2020 年 28 巻 1 号 p. 59-73

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抄録

 本研究では、スポーツを通じて地域課題をどのように解決するかについて論じる。一般的に、社会課題・地域課題の解決にはNPOが取り組む場合が多い。しかしNPOの多くは資金的限界を抱えており、それはスポーツを通じた地域課題解決の主要な担い手である総合型地域スポーツクラブも同様である。そこで本研究では、社会課題・地域課題の解決のみでなく自社の収益向上も目指す社会的企業という事業体に着目し、いかにしてスポーツを通じた地域課題解決と収益性が両立できるかを検討する。
 X市にある民間のボウリング場は、近隣の人々の間の社会関係が乏しいという地域課題に取り組んでいる。そして同施設は、ボウリングを通じて社会関係を構築するのみでなく、そこから収益を得ることを目指している。本研究では、同施設がいかにして社会関係の構築と収益性を両立させているのか、またそれはなぜ可能なのかを明らかにする。
 同施設がそれらを両立できたもっとも重要な要因は、その支配人が団体の固定客を集めることに注力してきたことにある。定期的にボウリング場に足を運ぶ人の数が増えれば、施設の収益が向上するのみでなく、そこに集まる人々のつながりも深くなるからである。またそうした要因に加え、同施設の専務取締役と支配人は、地元の地域特性を把握し、地域住民にとって最適な戦略を採っていた。

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© 2020 日本スポーツ社会学会
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