スポーツ社会学研究
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特集
フィギュレーション社会学とスポーツ社会学
マルカム ドミニック大平 章
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2021 年 29 巻 2 号 p. 7-20

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抄録

 この論文は「フィギュレーション理論」によるスポーツの社会学的分析の発展を概説するものである。それはノルベルト・エリアスとエリック・ダニングの業績を回顧することから始まる。本論文は、彼らの初期の研究がフィギュレーション社会学の中心概念の多く―フィギュレーションの概念、「過程」の重要性、巨視・微視的レベルでの社会発展が基本的に相互に依存しているという認識、および具体性をともなった社会学的分析を試みることの意味―をいかに確立し、かつ具体的に示したか、さらにまた、それがエリアスの研究とスポーツ社会学の発展の両方にどれだけ大きな影響を与えたかを説明する。それから本論文は、「フィギュレーション理論」によるスポーツ社会学の発展を探究し、その研究上、教育学上の発展が、1980年代、90年代を通じていかにサブ科目に影響を与え続けたかを説明する。3番目に本論文は、理論的中核を成す原理がわたし自身の研究において、とりわけ暴力の分析、クリケット関連での「英国性」と国家的アイデンティティの分析において―もっと最近では、スポーツと健康と医療との間で増大する「共働作業」を理解する試みにおいて―いかに応用されかつ、発展させられてきたかを記述する。この分野の、近年における「最先端の」研究誌が、エリアスとダニング、および両者が共同で発展させた「フィギュレーション理論」によるスポーツ研究の重要性や意義をいかに継続的に証明しているかを指摘することによって、本論文は締めくくられる。

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