スポーツ社会学研究
Online ISSN : 2185-8691
Print ISSN : 0919-2751
ISSN-L : 0919-2751
特集
スポーツ関連の暴力を解釈する
―西カナダの例―
ヤング ケヴィン大平 道広
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 29 巻 2 号 p. 21-38

詳細
抄録

 スポーツ社会学において暴力を研究するとなると、エリック・ダニングとノルベルト・エリアス、さらに敷衍すれば、フィギュレーション社会学(形態・関係構造社会学)に大いなる感謝の意をささげなければならないとういうことに、ほとんどの学者は賛同するであろう。このことは確かにカナダのスポーツ社会学について言えば、当たっている。というのも、そこでは少なくとも3世代にもわたって、ダニング、および彼の恩師であるノルベルト・エリアスの思想が基盤となり、かつ常に効力を示したことが判明したからである。本稿―それは2021年の春に開催された日本スポーツ社会学会での発表の産物である―の目的は、解釈上の手段としてのフィギュレーション社会学の有望性を証明し、自分自身の「スポーツ関連の暴力」に関する調査から得られる、1つの具体的な事例研究を提示することである。チャックワゴン・レース(幌馬車レース)を事例研究として検証し、さらには、エリアスやダニングやその他の研究者のフィギュレーション社会学の用語によって、馬が危険度の高い状態にさらされてしまうことを説明しながら、本稿は自称「地上最大の屋外ショー」―あの世界的に有名なカルガリー・スタンピード(ロデオ大会)―の「文明化」への変化する見解を考察するものである。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top