1993 年 1 巻 p. 63-76
本研究の目的は、県別のスポーツ参加を規定する諸要因を明らかにすることである。研究の方法として、スポーツ参加の指標に県別のスポーツ参加率を用い、それを規定する諸要因の検討にあたっては、まず、因子分析及び重回帰分析を行った。次に、「都道府県のスポーツに関する調査」を行い、県別のスポーツ参加率の高い県と低い県の特徴を考察した。
主要な結果は以下のように要約される。
1) 県別のスポーツ参加率は都市化による諸要因及びスポーツ環境の設備によって規定される。都市化は人口凝集によってもたらされるが、県民の進取的気質、経済的文化的豊かさもともなう。そしてスポーツ環境は絶対的なスポーツ施設の数などに強く影響を受ける。
2) 各県のスポーツ参加率の拡大には、有名プレイヤーやチームの輩出、伝統がありかつ普及したスポーツの存在、さらに企業が推進する社会人スポーツなどが必要とされる。
3) 都市化と情報の集積関係によって県民の相互交流が進展し、スポーツに対する積極的態度がつくられる。