スポーツ社会学研究
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労働者の大衆文化からマスメディアによる総合娯楽産業へ
オーストラリアのラグビー・リーグに見る20世紀のスポーツの軌跡
平井 肇
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8 巻 (2000) p. 13-23,125

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抄録

ラグビー・リーグは, 19世紀末期に英国で誕生した。このスポーツは, ラグビーという近代スポーツに対する階級間の考え方の違いや, このスポーツを楽しむ人々を取り巻く環境の違いから, アマチュアイズムを基本理念とするエリート階級のラグビー・ユニオンから分離したものであった。
20世紀初頭にオーストラリアに伝えられてこのスポーツは, 労働者の大衆文化として発展を遂げる。しかし, 支持者の労働者階級の変化やオーストラリア社会全体の変化とともに, 特に第二次世界大戦後は, 国民的・国際的スポーツへと次第にその姿を変えて行く。さらにマスメディアとの関係強化などにより, スペクタル化が促進される。80年代から90年代にかけては, この傾向に一層の拍車がかかった。
20世紀オーストラリアのラグビー・リーグの歴史は, 労働者の大衆文化からマスメディアによる総合娯楽産業への変遷の軌跡でもある。と同時に, スポーツをコントロールしてきた英国的なエートスが, アメリカ的なものへと変化して行く過程であった。この傾向は, ここに見られるケースに限らず, 程度の差はあるにせよ, 20世紀のスポーツ・シーンで共通に見られる現象であると言えるのではないだろうか。

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