スポーツ社会学研究
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ワールドカップの社会学
ワールドカップと国家・市民社会論
安 敏錫金 恵子
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2001 年 9 巻 p. 13-23,130

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抄録

本論文の目的は、2002年に韓国で開催されるワールドカップの政治経済学と社会文化的な意義を考察しようとするものである。本稿では、ワールドカップによる、政治的、経済的、そして社会文化的な影響や効果があると仮定した。その上で、
(a) ワールドカップを通して国家の関心や価値が全体に浸透するかどうかを調査、記述し、解釈した。
(b) 市民社会との密接な関係を確認、評価し、解釈した。
その結果、スポーツと権力との連関と、そのような関係についての矛盾した特性がワールドカップを通して明らかになった。ワールドカップの政治経済学は、資本主義社会における他の局面の政治経済学と同様、市民社会のニーズや関心とは必ずしも合っていないにもかかわらず、国家のある部分における権力、利益、そして顕示的消費によって示された社会関係を形成している。以上のことから、本論文では、市民社会が市民の側にあるワールドカップの効果を広げるために、「スポーツ・フォー・オール」の振興を世論化しなければならないと示唆している。

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