2001 年 9 巻 p. 24-35,131
本論文の目的は、この国のサポーターカルチャーズ研究に向けてのパースペクティヴを導き出すことである。まず、英国で行われてきたフーリガニズム研究について、レスター学派、テイラーの研究を批判的にレヴユーしている。そして、1990年代におけるフーリガンの変容をふまえたポピュラーカルチャーズ研究として、ジュリアノッティとレッドヘッドの研究を検討している。本論文では、これらの研究を基盤にしながらも、この国におけるサポーターの現実との往復運動によって研究を進めていくことが重要だと考える。
浦和レッズサポーターへのフィールドワークによれば、表象とその記憶に加えて、「男らしさ」、「浦和の場所性」、そして「抵抗の契機」といった要素がそれぞれの歴史的堆積をふまえながら複雑に絡み合って、重層決定されていることがわかる。サポーターのさまざまなポピュラーカルチャーズの要素をふまえながら、その日常で瞬間瞬間にさまざまな要素が紡ぎ合わさって構成される現実を読み解くことが必要である。