日本血栓止血学会誌
Online ISSN : 1880-8808
Print ISSN : 0915-7441
総 説
血液凝固VII因子の活性発現メカニズム
―そのとき凝固カスケードは動き始める― ~前編~
水口 純副島 見事岩永 貞昭
著者情報
ジャーナル フリー

15 巻 (2004) 2 号 p. 94-106

詳細
PDFをダウンロード (3031K) 発行機関連絡先
抄録

凝固カスケードを構成する一群のビタミンK依存性セリンプロテアーゼのVII因子やIX因子,X因子,プロテインCは,互いに似た3次元立体構造を示すが,その基質特異性や触媒活性はそれぞれ特有である.近年,これらの因子について,従来の分子異常の報告に加え,3次構造の解析,遺伝子欠損マウスや,ヒト以外の各種動物でのアミノ酸配列の報告,活性を増減させた改変体の作出などの研究が急速に進んだ.
その結果,これらの因子の構造と機能に関する新たな知見が質・量ともに増し,巨視的には似た構造である各因子の,どの領域がそれぞれの特徴を担っているかが解明されつつある.中でもVII因子は,組織因子とともに外因系凝固カスケードの開始点に位置し,その特性として,単に特異的切断を受けただけでは触媒活性はほとんど無く,組織因子と結合して初めて生理学的な活性を発現するというユニークさを持つ.これは生体にとって有害である無秩序な血液凝固を防ぐために,自然が紡ぎ出した巧妙なメカニズムと言えよう.では,この精妙な機構を司るのはVII因子のどの領域であり,他の因子と比較してどの様な差があるのであろうか? 本稿(前編+後編)では,特にVII因子の3次構造を中心としたここ数年の知見に,我われのデータもまじえつつ解説したい(VIIの最近の代表的な総説を文献リストの最初に示す1)-6).また,文献は後編にまとめて記載する.).

著者関連情報
© 2004 日本血栓止血学会
前の記事 次の記事

閲覧履歴
前身誌

血液と脈管

feedback
Top