日本血栓止血学会誌
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特集 血液凝固研究/臨床最前線
血液凝固第IX 因子
大森 司
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キーワード: hemophilia B, Gla domain, gene therapy
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2014 年 25 巻 4 号 p. 458-464

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抄録

要約:血液凝固第IX 因子(FIX)は肝臓で生合成されるビタミンK 依存性凝固因子の1 つである.FIX の構造はN 末からGla ドメイン,2 つのEGFP ドメイン,セリンプロテアーゼドメインをとる.FIX は活性化されると血液凝固第VIII 因子とカルシウムの存在下で,リン脂質依存性に共通系の血液凝固第X 因子(FX)を活性化させる.この内因系を介したFX の活性化は凝固反応の増幅に極めて重要である.FIX の遺伝異常による出血性疾患は血友病B として知られる.治療に用いられる濃縮凝固因子製剤は半減期が短く頻回の投与を必要とするため,新規治療法として長期作用型製剤の開発,ならびに遺伝子治療が注目されている.軽症血友病に出血傾向が少ないことからFIX が新たな抗凝固療法の標的として着目され,急性冠症候群や静脈血栓症に対するFIX 阻害薬の臨床試験が進められている.

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© 2014 日本血栓止血学会
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