2014 年 25 巻 5 号 p. 603-608
要約:従来より,既存の血管に存在する血管内皮細胞は,どれも単一な細胞集団であり,既存の血管から新しい血管が形成される際にも,既存血管から単調に細胞増殖と細胞移動が生じて,新規血管分枝が形成されると考えられてきた.しかし,実際にはそうではなく,血管新生の過程では血管分岐の方向を決定するガイド役の内皮細胞や,増殖活性が高く血管分枝の長さを決める内皮細胞,そして血管を成熟させる内皮細胞の少なくとも異なる3種の内皮細胞が存在することが判明してきた.さらに,既存の血管には未分化性を維持して,かつ内皮細胞の産生能の極めて高い幹細胞様の細胞も存在することが解明されてきている.