2014 年 25 巻 6 号 p. 713-719
要約 : 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,全身の微小血管に血小板血栓を生じる予後不良疾患である.無治療の場合は90%以上が死亡するが,血漿交換を実施することにより致死率が約20%になることが報告されている.TTP の病因として,von Willebrand 因子(VWF)の切断酵素であるADAMTS13 欠損が報告された.後天性TTP では,ADAMTS13 に対する自己抗体が産生され,同酵素活性が低下することが明らかとなり,なぜ血漿交換が有効であるかの説明可能となった.血漿交換無効例も存在するが,治療後にADAMTS13 自己抗体が上昇していることが血漿交換無効例で報告されている.無効例・再発例に対して,経験的にシクロフォスファミド,シクロスポリンなどが使用されてきたが,最近ではCD20 に対するモノクローナル抗体リツキシマブの有効性が報告されている.