2014 年 25 巻 6 号 p. 742-747
Points①ヌクレオチド系アゴニスト(2-MeS-ADP)または非ヌクレオチド系アンタゴニスト(AZD1283)が結合したヒトP2Y12 の結晶構造が決定された.②P2Y12 のリガンド結合ポケットは2 つに分かれており,2-MeS-ADP はポケット1と2 にまたがって結合しており,AZD1283 はポケット1 のみに分子の長軸の方向を変えて結合していた.③P2Y12 の細胞外領域は可動性が高く,かさ高い内因性リガンドであるADP の結合ポケットへのアクセスを可能とする.④ポケット入口や細胞外領域は正電荷を帯びており,リン酸基などで負電荷を帯びた2-MeS-ADP が結合すると,リガンドを包み込むような構造変化を起こす.⑤立体構造からのシミュレーションにより,チエノピリジン系抗血小板剤であるプラスグレルの活性代謝物はポケット2 に結合していることが推定された.