要約:Immunoglobulin-superfamily(Ig-SF)は原始的な生物にも存在する膜蛋白である.生命の進化に合わせ機能が継ぎ足され,現在は数千種類の多様性を持つ一大ファミリーとなった.その一部は,血栓止血の中心的な役割を担う血小板でも,膜蛋白として利用されている.傷からの出血を早く止めることが生存競争の重要課題であった哺乳類では,血小板膜上にIg-SF を持つことが迅速な血栓止血に決定的なアドバンテージをもたらし,現在の繁栄の一因になったと想像される.本稿では血小板膜上のIg-SF に焦点をあて,その役割について紹介したい.