日本血栓止血学会誌
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特集 新薬開発の現状と課題:抗血栓薬が世に出るまで
経口FXa 阻害剤エドキサバン選定までのみちのり
森島 義行
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2015 年 26 巻 4 号 p. 369-375

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抄録

要約:本稿では経口血液凝固第Xa 因子(factor Xa: FXa)阻害剤エドキサバン(商品名リクシアナ® 錠)が臨床開発化合物として選定されるまでのみちのりを解説する.本邦で唯一の経口抗凝固剤として長年使用されてきたワルファリンには,薬効の個人差,薬物-薬物相互作用などの問題点がある.これらの問題点を克服した経口抗凝固剤を創製するために,われわれはFXa を競合的・選択的に直接阻害する低分子化合物の獲得を目指した.世界初の低分子の直接かつ選択的FXa 阻害剤DX-9065a を見出したが,ヒトでの経口吸収性は十分ではなかった.DX-9065a の経口吸収性の改善には極性基の除去が必要で,FXa 阻害活性と経口吸収性の両立がこの創薬研究の最大の難関であった.詳細な構造-活性相関の検討とヒトへの精度の高い外挿を期待したサルでの薬物動態学/薬力学的評価を実施し,約20 年の研究の集大成として,最適な化合物エドキサバンの獲得に成功した.

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© 2015 日本血栓止血学会
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