2015 年 26 巻 5 号 p. 513-517
要約:出血性疾患は,凝固因子の異常をはじめ,血小板や血管における病変,自己免疫疾患を含む全身性疾患などさまざまな原因で引き起こされる病態であり,適切な診断に基づく治療が求められる.凝血学的検査がその診断に広く用いられるが,責任遺伝子の解析により同定される遺伝子変異は,より詳細な病型や,保因者であること,さらには止血凝固メカニズムについての様々な情報をわれわれに提供する.遺伝子解析により分子生物学的特性を明らかにすることは,遺伝子・細胞治療や遺伝子編集などの次世代の出血性疾患治療実現において必須である.また,ヒトゲノム計画により,ヒトの遺伝子がほとんど明らかにされ,ダイレクトシーケンスから次世代シーケンスへと技術が進歩を遂げた今日において,探索的な遺伝子解析による新たな病態の解明が期待される.