2015 年 26 巻 5 号 p. 518-523
要約:先天性血栓性素因としては,凝固阻止因子アンチトロンビン(AT)・プロテインC(PC)・プロテインS(PS)の欠乏症,活性化プロテインC 抵抗性(凝固第V 因子異常症),アンチロンビン抵抗性(プロトロンビン異常症)などがあり,静脈血栓塞栓症の重要な危険因子となる.これらの疾患は若年時より繰り返して血栓症を発症するため,正確に診断し再発予防に努めたり,家系調査による保因者の血栓予防を行うことが大切である.遺伝子解析は,確定診断や病態学的メカニズムの解明に重要な役割を果たしている.今後解析技術の進歩により,さらに変異同定率が向上すること(とくにPS 欠乏症)を期待したい.