日本血栓止血学会誌
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総説
全自動分析装置を用いるラテックス凝集法による血小板第4 因子(PF4)/ヘパリン複合体抗体(HIT 抗体)の測定における問題点
松尾 武文金子 誠吉賀 正亨小宮山 豊
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2015 年 26 巻 6 号 p. 641-646

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抄録

要約:平成24 年9 月1 日に,ヘパリン起因性血小板減少症の検査として血小板第4 因子(PF4)/ヘパリン複合体抗体(HIT 抗体)の検出を目的とした,ラテックス凝集法と化学発光免疫測定法が承認された.現在,ラテックス凝集法によるHIT 抗体検査が専用の自動分析装置を用いると15 分で結果が得られることなどから,臨床に広く利用されるようになっている.今回,ラテックス凝集法による測定結果が陰性にもかかわらず,HIT 抗体検出法として標準的酵素免疫法の1 種である血小板第4 因子/ポリビニルスルホン酸固相化酵素免疫測定法(以下酵素免疫法と略)で陽性と,両者間に乖離を認めたHIT 症例について検討を行った.続いて文献検索を行うと,ラテックス凝集法に関する臨床研究論文は内外あわせて4 篇(総説1 篇を含む),本邦からの国際学会発表の抄録1 篇と少数で,邦文による臨床研究論文は検索されなかった.その内,標準的酵素免疫法とラテックス凝集法との比較が記載されている2 編では,ともにラテックス凝集法では偽陰性率が高いことが示されている.このため,ラテックス凝集法の結果を解釈する際に,偽陰性率が高いことを念頭に置く必要がある.ラテック凝集法の臨床的有用性を高めるためのエビデンスの集積を,今後に期待したい.

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© 2015 日本血栓止血学会
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