2016 年 27 巻 4 号 p. 408-419
要約:大量出血に伴う生理学的反応である血液凝固障害は重症外傷で高頻度に認められるとともに死亡率の独立予測因子であり,迅速かつ正確に状況を把握することは治療戦略上極めて重要である.血液凝固障害として一般的に認められているプロトロンビン時間,活性化部分トロンボプラスチン時間の問題点は凝固過程初期の反映である点と血球成分に含まれる血小板の影響が反映されない点である.分離処理を行わない血液が凝固する過程における弾性粘稠度変化を測定するビスコエラスティックデバイスとしてTEG®,ROTEM®,Sonoclot®,T-TAS® などがある.2013 年にAmerican College of Surgeonから報告されたACS TQIP Massive Transfusion in Trauma Guidelines において外傷性凝固障害や出血性ショックに関する治療戦略にTEG®5000 とROTEM® の検査結果を具体的に示している.また,ビスコエラスティックデバイスの検査結果と外傷症例の転帰との関連に関しては多くの報告が認められるが,外傷症例の輸血管理や転帰改善に有益である明確な根拠はないのが現状である.