日本血栓止血学会誌
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特集 凝固検査の標準化
凝固検査の標準化の必要性と現状
福武 勝幸
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2016 年 27 巻 6 号 p. 617-622

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抄録

要約:臨床検査における標準化の目的は,検査結果が正確であり,病院が変わっても,地域が変わっても,国が変わっても科学的に共通の指標として使えるものにすることである.つまり,臨床検査の標準化は同一検査項目の結果を世界共通の指標として利用し,高度な医療を推進するための診断基準や診療ガイドラインを作り,利用するためには必須の作業である.臨床検査の結果は客観性の高い重要な医療情報であり,標準化を推進することによって検査結果の信頼性と普遍性を担保できる環境を整えることが大切である.標準化の目的を最終的に達成するには,その実効を臨床現場の中で確認する必要がある.多くの施設が参加する外部精度管理調査により個々の項目の検査結果の収束状態を確認することは,標準化の状態をモニタリングしていることにもなり,この結果を基に行政機関,製造会社団体,関係学会等が協働することで標準化の継続的改善のサイクルを形成することができる.

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© 2016 日本血栓止血学会
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