日本血栓止血学会誌
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総説
抗リン脂質抗体症候群と妊娠
村島 温子
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2016 年 27 巻 6 号 p. 659-664

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抄録

要約:抗リン脂質抗体症候群(APS)は決して多い疾患ではない上に,動・静脈血栓症ならびに習慣性流産,妊娠高血圧症候群(PIH)などの産科合併症を臨床所見としていることから,これらの臨床所見に対応して,様々な分野の専門家がそれぞれの立場から見て診療しており,いわゆる「群盲象を評す」状態にあると思われる.このような背景をもつAPS 患者の妊娠となるとさらに難しい.このような状況の改善を目的として,平成25 年に産科,内科,小児科などの当該領域の専門家による研究班を結成し,APS 合併妊娠についてアンケートや多施設症例調査研究を行った.アンケート結果からはAPSの診断が正しくされていない現状,臨床現場の混乱,ガイドラインへの期待が明らかになった.また,多施設症例調査研究結果や国内外の論文をもとにリスクの評価方法,ならびにリスクに合わせた治療方法などを盛りこんだ産科的APS のガイドラインを作成した.

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© 2016 日本血栓止血学会
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