2019 年 30 巻 5 号 p. 726-732
要約:血管内皮上に存在するグリコカリックスは,1)血球と血管内皮の摩擦を軽減し円滑な血液循環を維持する,2)血管内腔の抗血栓性を維持する,3)血管透過性の調節を行う,4)血漿蛋白を保持するなどの重要な役割を担っている.グリコカリックスは極めて跪弱な構造体であるがゆえに,様々な生体侵襲によって容易に障害され,結果として生じる組織循環障害の成立に深く関わっている.グリコカリックスの急性障害は,これまで敗血症を中心に研究されてきたが,最近になって外傷をはじめとする非感染性疾患においてもみられることが注目され,endotheliopathy として多くの研究報告が行われているようになっている.今回はグリコカリックス障害と微小循環障害の密接な関係について最近の知見を紹介する.