日本血栓止血学会誌
Online ISSN : 1880-8808
Print ISSN : 0915-7441
ISSN-L : 0915-7441
特集:Coagulation beyond Hemostasis
角膜と線溶
杉岡 孝二
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2020 年 31 巻 3 号 p. 301-309

詳細
抄録

近年,多くの生体組織で線溶系因子が血管外において線溶反応以外の多様な生体反応に関わることが知られており,創傷治癒過程においても線溶系因子は重要な役割を担っている.角膜は眼球の最前面に位置する透明な組織である.角膜における創傷治癒過程は他の生体組織(皮膚など)と類似の過程を経る.しかし最大の違いは,角膜には血管が存在しないことであり,病的な状態にならない限り角膜の組織内には血液由来細胞が存在しない.また創傷時に,血液由来細胞が角膜周辺の係蹄血管や涙液から創傷部に到達するまでには,損傷した毛細血管からすみやかに到達できる通常組織と比較して時間を要する.血管のない角膜が傷害や感染などの炎症に対してどのように反応するかを理解することは,臨床的にも極めて重要である.本稿では,角膜において創傷や病的な状態になった際に線溶系因子がどのような役割を果たすのかについて,我々の最近の知見も含めて概説する.

著者関連情報
© 2020 日本血栓止血学会
前の記事 次の記事
feedback
Top