2020 年 31 巻 5 号 p. 498-504
血小板減少例において標準的な血小板機能検査が確立されていないことから,ITP患者における血小板機能は十分把握されていない.また,ITP患者の血小板は正常者の血小板に比べて一般にサイズが大きいことを,正常例と血小板機能を比較する場合には考慮する必要がある.我々は慢性ITP患者において,近年開発されたフローサイトメーターを用いた血小板凝集能検査,および血小板サイズを考慮したPAC1/CD62P assayを行い,正常コントロールとの血小板機能を比較した.同じサイズの血小板を比較した場合,ITP血小板は正常コントロールに比べ,アゴニストに対する反応性が低下していた.しかし血小板サイズの増大によりこの低反応性は補填され,血小板全体で比較した場合にはITPの血小板機能は正常コントロールと同等~亢進していた.またITP血小板の低反応性にはPA抗GPIIb/IIIa抗体の存在,あるいはTPO-RAの使用が関連している可能性がある.