日本血栓止血学会誌
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特集:ITPとTTPの新しい治療
後天性TTPにおけるカプラシズマブ治療
八木 秀男
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キーワード: caplacizmab, iTTP, ADAMTS13, TPE, rituximab
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2024 年 35 巻 4 号 p. 440-447

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抄録

カプラシズマブはVWFのA1ドメインを標的とする低分子抗体薬であり,von Willebrand factor(VWF)と血小板の結合を阻害することで血小板血栓形成を抑制し,急性期における早期死亡や血栓症の発症を予防する.2018年にEU,2019年に米国,本邦では2022年12月に後天性血小板減少性紫斑病(後天性thrombotic thrombocytopenic pupura: TTP,または免疫原性TTP(immune-mediated TTP: iTTP))に対して保険承認され,初発並びに再発症例に対して血漿交換療法並びに免疫抑制療法に併用して投与することが可能となった.しかしながら本邦における使用経験は未だ乏しく,治療効果判定や投与中止のタイミング,さらに出血症状などの副作用対策について試行錯誤しているのが現状である.海外での5年以上の使用経験から血小板数の早期回復並びに血漿交換回数の削減効果があり,出血症状を助長することなくiTTPの死亡率を6%以下に改善し,ADAMTS13活性が20%以上に回復してから中止することで再燃並びに再発を抑えることが明らかとなった.

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© 2024 日本血栓止血学会
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