2024 年 35 巻 4 号 p. 468-472
免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病,immune thrombocytopenia, idiopathic thrombocytopenic purpura: ITP)におけるトロンボポエチン(thrombopoietin: TPO)受容体作動薬の有効性および安全性は,先行するエルトロンボパグ(eltrombopag: EPAG)およびロミプロスチム(romiplostim: ROMI)により示されてきた.しかしEPAGは食事や薬剤の影響を受けやすく内服時間や併用薬の制約が大きいこと,またROMIは皮下注製剤であり,かつ自己注射は認められておらず,週1回の来院が必要であることが大きな制約となっていた.新しいTPO受容体作動薬であるアバトロンボパグはEPAGと異なり,食事や薬剤の強い影響を受けない内服薬である.その有効性はEPAGやROMIと同等であり,またこれら2剤の無効例においても有効性が報告されている.血栓塞栓症の頻度がやや高い可能性があることに対し注意が必要であるが,有効性の高さと使いやすさから早期の承認が待たれる薬剤である.