2025 年 36 巻 5 号 p. 618-623
固形がんに伴う播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation: DIC)は一般的に凝固活性による血小板減少と骨髄での産生が長時間均衡しているいわゆる慢性DICの臨床形式を示す.がん腫の全身播種では時に急速進行性の臨床形式を示しその病態は様々である.またがん関連血栓症(cancer associated thrombosis: CAT)の1つでもあり,しばしば病的血栓を併発する.DICの早期かつ適切な診断・治療が担がん患者の生命予後やquality of life(QOL)の向上に必須である.
固形がんに伴うDICは日本血栓止血学会DIC診療ガイドライン2024での1つの章でもあり,今現在分かっている望ましい診断・治療が提示された.固形がんに伴うDICと一括りに分類されているが,基礎疾患となるがん種,特に病理学的分類,病期,DICの程度(慢性か急速進行性か),患者の生命予後など実に千差万別である.状況別に如何なる治療を選択していくべきか今後明らかにしていくべき課題の1つと考える.