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日本輸血細胞治療学会誌
Vol. 54 (2008) No. 1 P 23-30

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http://doi.org/10.3925/jjtc.54.23

原著

背景·目的: 血液製剤の国内自給を達成するためには,献血事業の推進と共に適正使用による使用量の削減が必須である.愛媛県におけるアルブミン製剤の使用量は他の都道府県に比べて突出している.更に愛媛大学医学部附属病院の使用量は県内においても最上位に位置し,愛媛県における基幹病院として放置できない状況であった.薬剤部では輸血部と連携して,アルブミン製剤の適正使用を推進するため種々の方策を実行してきた.
対象·方法: 薬剤部から医師に対して適正使用を呼びかけるとき,適正か否かを判断する基準として,厚生労働省の「血液製剤の使用指針」1)は有力なガイドラインである.しかし,この内容をアナウンスするだけでは殆ど効果が得られなかった.そこで,病院情報システムに記録された投与前後のアルブミン検査値,投与履歴,病名を該当患者毎に自動的に集計しデータ集としてプリントアウト出来るシステムを開発し,主治医に送付する事により適正使用の再確認を促した.当初はアルブミン投与量の多い症例にのみ行ったが,その後,使用目的をアンケート形式で問う届け出制を導入し,データ票を添えて全症例に対象を拡大した.また,全国調査の公表結果から得られた同一機能区分病院の平均使用量と本院の使用量を毎月グラフとして,その隔たりを視覚的に訴えた資料を作成し病院運営委員会および実務連絡会で通知した.また,診療科別の明細表も添付した.
成績: アルブミン製剤使用量を2年間で半減できた.また,アンケート調査を含めて多くの知見を得られた.
結論: 厚生労働省のガイドラインのみを根拠に医師に対して働きかけていた時期には,ほとんど効果が見られなかったが,病院機能区分別の使用量調査の公表により全国における状況を把握し,本院の使用量が多いということを認識できたことで,削減目標と現状を数値的に示して呼びかけたことが効果的であった.またこの調査結果により病院長をはじめとする首脳部が適正使用推進に向けてバックアップした事も大きな要因であった.更に,病院情報システムのデータを主治医にフィードバックして状況確認を促す方法が非常に有用であった.

Copyright © 2008 日本輸血・細胞治療学会

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