54 巻 (2008) 6 号 p. 625-631
非溶血性輸血副作用の中では蕁麻疹が最も多い.その発生機序は輸血製剤由来のアレルゲンと患者由来IgE抗体による,I型アレルギーと想像されているが,未だ不明な点も存在している.一方,肥満細胞/好塩基球が関与するアレルギー反応にはこれ以外に,造影剤アレルギーに代表される様に,刺激因子が直接,同細胞を活性化し症状を惹起する経路も存在する事から,同症例においても,輸血製剤中に含まれるHLA抗体や好塩基球抗体等の刺激因子が,同細胞を直接刺激し,脱顆粒に至る可能性がある.そこで,本研究ではこの可能性を検証する為に,まず,好塩基球抗体を検出する検査法の樹立を検討した.方法として,既に報告している5-cell lineage IFTを一部変更し,従来法で各血液細胞マーカーとして用いていたCD4,CD20,CD14抗体に加え,新たにCD123抗体を加えた.これにより,好塩基球を含む6系統血液細胞に対する抗体の検出が可能となった.次に,本法を用いて,アレルギー性輸血副作用23症例を対象に白血球抗体の検索を行った結果,患者23例中14例,製剤19例中6例において抗体が検出され,その内,7例は好塩基球に反応する抗体であった.これにより,好塩基球に反応する抗体の存在も明らかとなった.