抄録
Upshaw-Schulman症候群(USS)は,von Willebrand因子切断酵素(ADAMTS13)の遺伝子変異により,ADAMTS13活性が著減して発症する先天性血栓性血小板減少性紫斑病である.典型的な症例では新生児期から重症黄疸を呈し,しばしば交換輸血を要する.また,血小板減少症や細血管障害性溶血性貧血などを繰り返し,新鮮凍結血漿(FFP)投与が必要となる.多くの症例では,ADAMTS13を補充する目的で2~3週間ごとに新鮮凍結血漿の定期投与を続けている.このため,感染症やアレルギーなどの副作用を生じる場合がある.この問題を解決するため,シングルドナー由来の小分けFFP投与を行った.過去にランダムドナー由来のFFPで2度蕁麻疹を発症したUSS症例において,小分けFFPを22カ月にわたり使用することで,治療継続が可能となった症例を経験した.