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日本輸血細胞治療学会誌
Vol. 56 (2010) No. 3 P 373-380

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http://doi.org/10.3925/jjtc.56.373

報告

今回我々は,松山赤十字病院における2006年1月~12月の輸血開始基準値(トリガー値),すなわち赤血球濃厚液,新鮮凍結血漿,血小板濃厚液輸血前のそれぞれヘモグロビン値,プロトロンビン時間,血小板数を後方視的に調査し,輸血用血液の適正使用を2005年の厚生労働省の指針と比較して評価した.輸血当日の検査実施率は,赤血球濃厚液では78.1%,新鮮凍結血漿では54.8%,血小板濃厚液では77.5%であった.疾患別にみた赤血球濃厚液の適正使用率(輸血トリガー値遵守率)は,血液疾患では76.7%と高かったが,周術期は41.0%,慢性出血は33.3%と低かった.新鮮凍結血漿の適正使用率は,すべての疾患において低かった(7.7~22.7%).血小板濃厚液の適正使用率は,出血・播種性血管内凝固症候群(DIC)では92.6%,周術期は67.4%,急性白血病・悪性リンパ腫は85.0%と高く,再生不良性貧血・骨髄異形成症候群(MDS)では37.6%,固形腫瘍・他は18.5%と低かった.調査期間の半ばより血小板濃厚液注文の予約制が導入され,血液疾患では血小板濃厚液の適正使用率が高くなった.これには各担当医師がトリガー値を再認識し,検査技師も出庫前の検査値確認をより徹底したことが関係していた.
当院において,適正使用の推進には,輸血部門の出庫前検査値確認と,医師による輸血トリガー値の再認識が極めて有用であった.

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