日本輸血細胞治療学会誌
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報告
当院臨床検査技師の末梢血幹細胞採取への取り組み
佐々木 淳政氏 伸夫森田 曜江妹尾 のり子村田 則明長谷川 智高橋 一人森 智坂井 延広伊東 慎一市來 一彦小松 康之堤 豊松野 一彦
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2010 年 56 巻 4 号 p. 501-507

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抄録

当院では,2002年3月より末梢血幹細胞(PBSC)アフェレシスを臨床工学技師(ME)が担当して開始した.CD34陽性細胞(CD34+)数評価,細胞処理,凍結は臨床検査技師(MT)が分担した.2005年1月にMEはアフェレシス業務から撤退し,以後はMTが担当した.土日休日も含めてMTによる採取の安全性確保のため一連の手技のトレーニングと業務体制の再構築を行った.
採取場所は病棟個室に変更し,担当看護師が穿刺や点滴を実施した.病室には酸素,吸引の配管があり,モニター,救急カートを病室内に設置し,日直医師が待機することとした.独自の「チャート」を作成し,採取の進行状況,患者バイタルを記録した.
2002年3月から2008年10月までに施行した自家PBSC採取患者29名,再構築前6名,後23名,採取回数は再構築前13回,後41回であった.
2005年1月以降,土日休日の採取は0%から22%となり,保存目標CD34+数(2.0×106個/kg以上)達成率は50%から87%となった.合併症の発生に変化はなかった.
PBSCアフェレシス操作をMEからMTに交代したが,種々の安全対策を含む業務再構築の結果,重篤な有害事象の発生も無く,採取効率もMEの担当時と同等であった.安全性確保のための業務再構築は患者・ドナーの不安やストレスの軽減に寄与している.
細胞治療関連業務は,今後,臨床検査技師の積極的関与が必要とされる分野となる.

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© 2010 日本輸血・細胞治療学会
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